相模原障害者施設殺傷事件のその後の動向に関する意見(COMHBO)より

「精神障害者」は、何をするかわからない存在というのは、科学的にも間違った考えだと思います。
データを見ても、「健常者」と呼ばれている人の犯罪率のほうが、「精神障害者」の犯罪率を大きく上回っているのですから。地球には多種多様な生物が存在して、バランスを取りながら生きています。人間もその一つの存在であり、ある一つの種を守ろうとすることでとんでもない事になってしまった実例を歴史は記録しています。

COMHBO(コンボ)【地域精神保健福祉機構】の見解から掲載させて頂きました。


(2016年9月16日)

2016 年7月26 日、神奈川県相模原市の障害者支援施設において殺傷事件が発生し、19名の方が亡くなられ、24 名の方が負傷しました。亡くなられた方々とご遺族の皆さまに衷心より哀悼の意を表するとともに、負傷された方々一日も早く回復されるよう祈念いたします。

当法人は相模原障害者施設殺傷事件が発生した当日にメディア各社の方々に緊急要望書を提出いたしました。
要望書はこちら
この緊急要望書提出の理由は、2001年の大阪教育大学付属池田小学校事件当初の精神病院への入院歴報道と、後に精神疾患の詐病が明らかになった調査結果に基づき、事件の背景・動機などの詳細が不明の段階で「精神病院に入院」「通院」といった断片的な報道を行うことにより、「精神疾患」が事件の原因であり動機であると理解され、本来の事実に基づく原因追及と対策実行が行われなくなってしまう可能性があると考えたからです。

また、「精神病者(精神障害者)はみな危険」という画一的なイメージ(=偏見)を助長する影響が強く懸念されます。大阪教育大学付属池田小学校事件の時の調査によると偏見が強くなったと感じた人は当事者で56.9%、家族で54.2%、医師で72.1%となっています。1)
さらに、精神疾患と共に生きている人々への影響も強くあり、上記調査の医師報告(医師数229人、病院数92病院、当事者数17765人)では、症状が不安定になった方が57.6%、深刻なケースでは自殺された方が1.1%、入院再入院された方が16.3%、再発された方が13.0%となっています。1)
※1)大阪池田小事件による報道被害に関する調査. 季刊 地域精神保健福祉情報 Review 10巻2号(通算38号), 2002, pp.43-45.(2001年6月に起きた大阪教育大学附属池田小学校事件が、精神疾患をもつ当事者および家族に与えた影響の調査報告)

事件発生から一月以上が経過していますが、当法人が当初危惧した問題が危惧でなく現実に起こりつつあり、また、それ以上の問題が現れつつあると思います。
今回の相模原障害者施設殺傷事件は、ナチスドイツ時代T4作戦と酷似した極端な優生思想ともいえる思想をもとに行われていることや、極めて早い段階で措置入院の見直しの指示が行われ精神科医療が犯罪予防に利用される可能性が出てきていることなど、この間、数十年をかけて取り組まれてきた「病院から地域に、施設から職場へ」という「共生」社会の建設という流れを逆転させる可能性すらあるのではないかとの危機感を感じざるを得ません。

現在入手している情報は限られており、当法人の意見も限定的なものですが、そのような危機感を踏まえ、意見表明を行いたいと思います。
また、今後も新しい情報や対応が必要になれば意見書を発表したいと考えていますので、情報やご意見をいただければ幸いです。

1.植松容疑者に共鳴する動きについて
当法人は、優生思想に基づくと思われる植松聖容疑者の残虐な行為を断じて許すことはできません。それとともに、ごく一部とは言えインターネットなどを通じて、植松容疑者の考え方や行為に共鳴する書き込みがされている現状に、深い憂慮と懸念の気持ちを表明します。当法人は、「精神障害をもつ人たちが主体的に生きて行くことができる社会のしくみ」を作ることを目ざして2007年以来活動を展開して来ました。私たちは、このような社会の動きに対して、決して黙視することなく、断固として反対意見を表明する活動を継続して行きます。
私たちの活動の根拠となる考え方は、まず、「生命は存在するだけで価値がある」ということです。そして、存在としての人間・生物学的な存在としての価値は実存としての人間の価値の前提・基盤となるものであって、逆ではありません。人間の実存としての価値は一人一人の個性が異なるように多様であり、個々人が多様であるが故に「類」として人間の存続の可能性が広がっていると考えます。
優生思想の問題点は、生命それ自体が自然に存在し多様な価値軸を持って、それぞれに多様な価値を生み出す可能性を持っているにもかかわらず、ある時期・ある場所の「社会」「国家」を支配している特定の価値軸で評価し、ある水準以下は生物学的な存在すら抹殺してもかまわないとする逆立ちした考え方を、浸透させるところにあります。
優生思想に対する有効な対抗策は、生命は多様な価値を生み出す可能性のある存在であり、多様性を担保していくことが、人類にとっても個人にとっても社会にとっても有益であることを示すことだと考えます。当法人が使命としてめざす「精神障害をもつ人たちが主体的に生きて行くことができる社会」とは、優生思想とは正反対の多様な価値とそれを生み出す多様性を尊重する社会です。

2. 犯罪予防に精神科医療が利用されることへの異議申立
今回の事件報道は大部分のメディアの方々が、優生思想に基づく犯罪行為と精神科医療の問題とを極めて冷静に区別しており、感銘を覚えました。また、当法人の緊急要望についてもご配慮いただけたものと感じております。
しかしながら、ごく一部のメディアでは、犯行が精神障害に基づくという予断を前提にし、「措置入院を経て強い犯意を持続させ、実行に及んだ」、「池田小事件をきっかけに17年には、裁判所が医師の鑑定をもとに指定医療機関への入院を命じることができる心神喪失者等医療観察法も施行されたが、精神保健福祉法と併せ、社会の安全を守るには多くの問題点を残す」と主張する記事が掲載されています。
このような記事は、精神保健福祉法や医療観察法の目的などの無理解を前提にし、精神科医療を犯罪予防の道具として発想していると非難せざるを得ません。
当法人は、精神科医療を犯罪予防の道具として利用することに断固反対します。9月14日に発表された厚生労働省「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の中間とりまとめでは、植松容疑者に対して精神保健福祉法に基づく措置入院が適切に運用されていたかどうかについて、措置入院中の診療と措置解除時の対応、社会福祉施設等における防犯対策に限定した検討が行われています。
しかし私たちは、「優生思想による確信」に基づいて行われたと思われるこの犯行に対して、精神科医療が対応するのが適切であったのかどうかという根本的な問題について、十分な議論と検証が必要と強く考えます。同時に、精神科医である指定医が「自傷他害のおそれ」の要否を判断することが、精神保健福祉法の目的に照らして適切なのか、さらには社会的な犯罪予防という観点から見て、それが有効なのか可能なのかという点について、十分に検討することを、政府・精神科医療関係者・社会の皆さんにお願いしたいと考えます。
平成16年9月に厚生労働省精神保健福祉対策本部が提示した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」では、「入院医療中心から地域生活中心へ」という方策を推し進めていくことが示され、平成22年6月の閣議決定においても、「社会的入院」の解消や精神障害者に対する強制入院等についての検討などが示されています。このような施策の流れの中で、犯罪予防を精神科医療に期待することは、歴史の逆行でしかありません。わが国の精神科医療は、ベッド数の多さ、入院日数の長さ、多剤大量処方など、世界的にも特異な状況にあります。入院中心主義という悪しき残滓が精神医療の改革を阻んでいます。私たちは、「病院から地域へ、施設から職場へ」といった方向をさらに推し進め、精神科医療が誰にとっても安心・安全で開かれたものにしていきたいと思います。
以上、私たちは、精神障害をもつ人たちが主体的に生きて行くことができる社会のしくみをつくることを通じて、多様性が尊重され、障害の有無にかかわらず一人ひとりが尊重され主体的になれる社会をめざし、これからも活動を継続していくことを改めてここに表明いたします。

2016年9月16日
認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)

社会福祉法人ひびき福祉会 30周年記念イベントのご案内です!

1986年 無認可共同作業所としてオープン。
2003年 社会福祉法人ひびき福祉会として設立認可。
2016年 つなげて30周年です。
入場無料です。どんどんお越しくださいm(__)m

ひひき30周年チラシ表 

30周年裏 

社会福祉法人ひびき福祉会の有志職員さんと有志利用者さんが、プロデュースしてくれています。

2016年7月26日未明 神奈川県相模原市で起きた障害者施設殺傷事件について-その2

その2です。


2016726日 【声明】障害者入所施設で起こった悲惨な事件について

 

きょうされん常任理事会

 

 本日未明、神奈川県相模原市の障害者入所施設で起こった悲惨な事件は、日本各地に大きなショックをもたらしました。とりわけ障害のある当事者や家族、関係者の受けた衝撃、そして不安や悲しみは言葉であらわすことができません。

 

 なにより、犠牲となった障害のある当事者、そのご家族に哀悼の意を表するとともに、負傷した方たちの一日も早い回復を祈ります。ならびに、同施設で事件に遭遇した方たちの心の傷が時間をかけながら癒されることを切に願います。

 

 容疑者の卑劣な行為は、いかなる理由があるにせよ決して許すことはできません。一方で、なぜこのような事件が障害者入所施設で起こってしまったのか、戸惑いと疑念が晴れません。こうした事件を二度とくり返さないためにも、事件の背景や真相が究明されることを願います。

 なお、報道によると容疑者には入院歴があったとされていますが、今後、精神障害に対する誤った認識や差別が助長されないよう、各機関には慎重な対応を求めます。

 

 最後に、本事件の報道に触れて、全国の障害のある当事者、その家族、関係者には動揺と不安が広がっています。障害のある当事者と家族のみなさんには、できるかぎり冷静さを失うことなく、普段どおりの生活を送られることを呼びかけます。あわせて、関係者のみなさんには、障害のある人とその家族の気持ちに寄り添い、個々に応じた特別な支援・援助を行なっていくことを呼びかけます。

 

                              

 

◆緊急要請

 

 私は全国精神病者集団という全国の「精神病」者団体個人の連合体の会員です。また国連認定NGOであり、障害者権利条約作成に参加してきた世界精神医療ユーザーサバイバーネットワークの理事でもあります。

 相模原で障害者が襲われ19名の方がなくなったこと、未だ衝撃の中で言葉を失っております。なくなった方のそれぞれの方の命を思いご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方々の順調な回復をお祈りいたします。

 未だ事件の詳細は不明であり、この事件が逮捕された人の精神疾患故のものあるいはその影響下にあるものなのかどうか、何もわかっていません。

 しかし私はこの事件は最悪の障害者に対するヘイトクライムと考えております。彼は確信犯であり、ある意味この間の社会保障総体の切り捨てという国の政策を体現しているといっていいと考えます。

 それにもかかわらず、彼に措置入院歴があったことをもって、このヘイトクライムを彼個人の精神疾患あるいは資質と結びつけることで国の責任を放棄する方針を私は許すことができません。あまつさえ厚生労働省は措置入院制度全体についての検討を始めると発表されました。

 あまりに軽率な方針です。

 かつて群像新人賞受賞者で精神病院入院歴のある小林美代子は「一人の犯罪で私達全員が裁かれる」と告発しました。

 今再び同じ過ちがなされようとしています。

 すでにこの事件報道及び厚生労働省の措置見直し方針によって、多くの「精神病」者仲間が病状悪化に追い込まれており、緊急入院の事例も頻発しています。

 私は緊急に以下を求めます

① ヘイトクライムは決して許さないという政府としての宣言

② ヘイトクライムがなぜ生まれたのか、この間の国の政策を徹底的に検証するため、全省庁挙げての調査委員会の発足

③ 厚生労働省における措置入院の検討有識者会議及び検討作業の中止

 

2016730

 

総理大臣 安倍晋三様 

厚生労働大臣 塩崎恭久様 

               全国「精神病」者集団会員  山本眞理



 

 

以上、6つの団体の声明文、要望書です。

 

1.   共通するのは、障がい者一人ひとりの命の重さは、障がいを持たない人の命と等しく重い。どんな理由があれ、犯人の罪は重いということ。

2.   背景・原因・動機の徹底解明を急ぐこと。

3.   措置入院歴や大麻の反応など、事件と直接関係があるのか判らない時点での警察発表と憶測による、不安を煽るような報道は控えるべきである。

 

3.に関しては、危惧すべき点が多い。7/26の報道で、容疑者が参議院議長に宛てた手紙の公開(10枚中3枚のみ)が早過ぎる。残りの7枚には何が書いてあるのか判らない。しかも、報道はその1部を切り取り紹介。因果関係がはっきりしないうちに「措置入院の履歴など」も、そんなに早く簡単に流していいのでしょうか?

 

■ 精神障害者の犯罪率は、健常者の犯罪率に比べて、一貫して低い(ずっと昔から)という事実を、マスコミは取り上げて来ていない。

■ 有識者やマスメディアは、世間の不安を増長させるのではなく、的確・正確なデータを提供し、すべての(障害有無関係なしに)人々がが安心して暮らせる社会の実現を提言してください。

■ 今回の事件の背景及び真相究明に関して、透明性を担保しながら解明して行くことを切に願います。


最後に、神奈川県の障害者支援10団体が神奈川県に対して申入書を提出した。

全文は、手に入りませんが、日経新聞電子版で要旨がわかりましたので、掲載します。

共に生きる社会の根底の部分だと思います。


「障害者差別なくす施策を」 神奈川の支援10団体 

2016/7/30 

  相模原市の障害者施設殺傷事件を受け、神奈川県で障害者支援に取り組む10団体が29日、連名で県に「障害者への差別と偏見を払拭するため、これまでの施策の根本的な転換が求められている」などとする申し入れ書を提出した。
 申し入れ書では「障害者は別枠の教育や施設での生活を強いられてきた」として、保護や分離の施策が弊害となっていると問題提起。「地域社会の一員として分け隔てなく生きていく中でしか互いを認め合う関係は生まれない」と指摘した。
 また、文末には「一般的に公表される被害者の氏名が、この事件に関しては公表されないことは、当事者として大きな疑問を持たざるを得ない」と付け加えた。〔共同〕

【出展・参考】 

 

2016年7月26日未明、神奈川県相模原市で起きた障害者施設殺傷事件について-その1

 「65歳以上の高齢者が利用する介護保険の24時間訪問介護」と「65歳未満の重度障がい者の障害福祉サービスの介護制度」との共通点・相違点を取り上げる予定でしたが、次回以降にしたいと思います。


 7月26日(火)未明に、相模原市の障がい者施設で痛ましい事件が起きてしまいました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、傷ついた方々へのお見舞いを申し上げます。


事件の概要は、皆さんご存知と思いますので、ここでは事件翌日以降に出された障がい者関係団体の「抗議声明文」「要望書」を中心に紹介したいと思います。

(関係者方々から様々な情報提供頂きました。ありがとうございます。)


掲載順と正式団体名は、次の順とさせて頂きます。(書式変更、少々有ります)

  1. 特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
  2. 特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・コンボ
  3. 全国手をつなぐ育成会連合会
  4. 認定NPO大阪精神医療人権センター
  5. きょうされん
  6. その他の団体



相模原市障害者殺傷事件に対する抗議声明

                              2016727

 

特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議

議長 平野みどり

 

わたしたちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は、障害の種別を越えて障害者が障害のない人と共に生きることができる社会づくりのための運動を行っている団体であり、北海道から沖縄まで91の団体で構成されている障害当事者団体である。

2016726日未明に相模原市の障害者施設で起きた障害者殺傷事件によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、負傷された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 現時点で事件の全容は不明でありその解明は今後を待たなければならないが、報道によると容疑者は深夜に施設に入り、障害者を刃物で次々と襲い、殺傷し、神奈川県警の調べに対し「障害者なんていなくなればいい」という趣旨の供述をしているとも伝えられている。もし、これが事実だとすると、障害者を「あってはならない存在」とする優生思想に基づく行為に他ならず、私たちDPI日本会議はここに強い怒りと深い悲しみを込めて断固として優生思想と闘っていくことを改めて誓う。

 

 近年、閉塞感が強まる中、障害者をはじめとするマイノリティに対するヘイトスピーチやヘイトクライムが引き起こされる社会状況の中で、今回の事件が起きたことを看過してはならない。ヘイトスピーチ、ヘイトクライムを許さず、それらが引き起こされる社会状況を変革し、誰もが排除したりされたりしないインクルーシブな社会づくりを進めていくことが求められている。

 障害者分野では、2014年に障害者権利条約が批准され、今年4月からは障害者差別解消法が施行されるなど、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会=インクルーシブな社会づくりを目指した取り組みが進められてきた。

 私たちは、今回の事件にひるむことなく、障害者の生命と尊厳がまもられ、様々な権利が行使できるように、インクルーシブ社会に向けた活動をより一層強める決意である。

 

 なお、容疑者とされる者の入院歴等が一部マスコミで取り沙汰されているが、事件の全容が解明されていない中で偏見と予断を煽りかねない報道は差し控えられることをあわせて求めるものである。

 

                                              


特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・コンボ

(2016年7月26日)

2016年7月26日未明、神奈川県相模原市で起きた障害者施設殺傷事件の報道について、コンボでは、マスコミ各社に下記の緊急要望書を提出しました。皆様にご報告いたします。

————————

 日頃、貴社におかれましては社会正義のため迅速で正確な報道のためご尽力されていることに対し深甚なる敬意を表します。私たち「認定NPO法人地域精神保健福祉機構」は、2007(平成19)年1月に設立したNPO法人で、通称をコンボと称します。

 私たちは、「精神障害をもつ人たちが主体的に生きていくことができる社会のしくみをつくること。そのために地域で活動するさまざまな人たちと連携し、科学 的に根拠のあるサービスの普及に貢献すること」を使命とし、精神保健福祉関係者、ご本人・ご家族の皆さまに、ご指導・ご支援をいただきながら活動しており ます。
 このたびの相模原市で起きた事件について、被害にあわれた方の一日も早い回復を願うとともに、亡くなられた方々に対し深く哀悼の意を表します。またご家族の皆さまの驚きや悲しみをお察し申し上げます。
 さて、この事件で逮捕された男について、一部報道では、措置入院の過去があったと報じられています。私たちは、事件の背景・動機などの詳細が不明な段階で、精神障害による犯行とするような報道を危惧しております。
「精神病院に入院」「通院」といった部分記述は、事実であっても、その一文(以下、病歴報道)によって、読者には「精神疾患」が事件の原因であり、動機で あると読まれてしまいます。その結果、「精神病者(精神障害者)はみな危険」という画一的なイメージ(=偏見)を助長してしまうと考えるからです。
2001年の大阪教育大学付属池田小学校事件では、精神障害者の犯行として大々的に報道され、精神障害の当事者に多大な報道被害をもたらしました添付の調査報告書をご参照ください)。
現在、入院患者だけで約30万人、精神障害者保健福祉手帳だけでも約75万人が取得しており、約396万人が精神科に入院・通院しています。こうした人たちの立場や気持ちにも配慮した記事づくりをお願いいたします。

                                                           以上

※添付の調査報告書:
大阪池田小事件による報道被害に関する調査. 季刊 地域精神保健福祉情報 Review 10巻2号(通算38号), 2002, pp.43-45.
(2001年6月に起きた大阪教育大学附属池田小学校事件が、精神疾患をもつ当事者および家族に与えた影響の調査報告)



 神奈川県立津久井やまゆり園での事件について(声明文)

平成 28 年 7 月 26 日

 全国手をつなぐ育成会連合会   会長 久保 厚子

  平成28年7月26日未明、障害者支援施設「神奈川県立津久井やまゆり園」(相模 原市緑区、指定管理者・社会福祉法人かながわ共同会)において、施設入所支援を利用 する知的障害のある方々が襲われ、19 人が命を奪われ、20 人が負傷するという未曾有 の事件が発生しました。被害に遭われ亡くなられた方々に、衷心よりご冥福をお祈りす るとともに、ご家族の皆様にはお悔やみ申し上げます。また、怪我をされ治療に当たら れている方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

  抵抗できない障害のある人に次々と襲いかかり死傷させる残忍な行為に私たちは驚 愕し、被害にあわれた方々やそのご家族の無念を思い、悲しみと悔しさにただただ心を 震わせるばかりです。職員体制の薄い時間帯を突き、抵抗できない知的障害のある人を 狙った計画的かつ凶悪残忍な犯行であり、到底許すことはできません。 事件は、当会会員・関係者のみならず、多くの障害のある方やご家族、福祉関係者を 不安に陥れ、深く大きな傷を負わせました。このような事件が二度と起きないよう、事 件の背景を徹底的に究明することが必要です。

  今後、事件対応に関わる皆様には、まずは被害者及び被害者の遺族・家族、同施設に 入所されている方々のケアを十分に行ってくださるようお願いいたします。その上で、 事件の背景・原因・内容を徹底して調査し、早期に対応することと中長期に対応するこ とを分けて迅速に行いつつ、深く議論をして今後の教訓にしてください。加えて、本事 件を風化させないように今後の対応や議論の経過を情報として開示してください。 また、事件で傷ついた被害者やご遺族が少しでも穏やかに過ごせるよう、特に報道関 係機関には特段の配慮をお願いします。

  事件の容疑者は、障害のある人の命や尊厳を否定するような供述をしていると伝えら れています。 しかし、私たちの子どもは、どのような障害があっても一人ひとりの命を 大切に、懸命に生きています。そして私たち家族は、その一つひとつの歩みを支え、見 守っています。事件で無残にも奪われた一つひとつの命は、そうしたかけがえない存在 でした。犯行に及んだ者は、自らの行為に正面から向きあい、犯した罪の重大さを認識 しなければなりません。 

 また、国民の皆様には、今回の事件を機に、障害のある人一人ひとりの命の重さに思 いを馳せてほしいのです。そして、障害の有る無しで特別視されることなく、お互いに 人格と個性を尊重しながら共生する社会づくりに向けて共に歩んでいただきますよう 心よりお願い申し上げます。 



2016年7月26日未明に相模原市の障害者施設で発生した事件に関し、大阪精神医療人権センターでは、報道機関に対し、以下の要望書を提出しました。

                                                 2016年7月28日          要望書

~相模原市障害者殺傷事件に対する報道について~



報道機関 各社
               

  〒530-0047
大阪市北区西天満5丁目9番5号 
谷山ビル9階
認定NPO大阪精神医療人権センター 
代表理事 位 田 浩
代表理事 大 槻 和 夫
TEL 06-6313-0056 FAX 06-6313-0058


 
当センターは、『扉よ、ひらけ』をスローガンに、精神科病院の閉鎖性や密室性によって生じる精神障害者に対する人権侵害を防止し、安心してかかれる精神医療を実現させるための活動を30年にわたって続けている、当事者、家族、精神科医療福祉従事者、弁護士、市民等で構成される特定非営利活動法人です。

 今月26日未明に相模原市の障害者施設で発生した殺傷事件について、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、傷ついた方々へのお見舞いを申し上げます。

 この間の報道では、加害者による障害者の命や尊厳を否定する意見が繰り返し流される一方で、障害者に対するヘイトクライムともいうべき犯罪行為に対する批判の論調が必ずしも十分なものではありません。このような報道姿勢は、これを見聞きする障害者にとって、命の危険を感じさせるほどの強い恐怖感を抱かせるものです。上記のような考えが間違ったものであることを繰り返し報道することを求めます。

 また、加害者の精神科病院への入院歴があたかも事件を起こした動機・理由と関連があるかのような報道がされています。しかし、事件と精神障害とを結びつけるような報道が、精神障害者が危険な存在であるかのような偏見を助長・拡大することを強く危惧します。地域社会で暮らしている精神障害者が攻撃の対象とされて平穏に過ごせなくなるおそれがあるからです。
 さらに、加害者に対する措置入院の解除が問題であったかのような報道もされています。そもそも加害者に措置入院の要件があったのか、入院中にどのような治療がなされたのか、措置入院が解除されたのはどうしてか等々も不明です。加害者を精神科病院に閉じこめておけばよかったかのような考えは、精神医療を犯罪防止の道具にする短絡的思考につながっていきます。事件の全容が十分に明らかになっていない段階での報道に対して強い疑念を抱かざるをえません。

 私たちは、報道機関に対し、緻密に調査された正しい事実に基づいて、精神障害者に対する差別や偏見を助長することのない適正な報道に努めていただくことを強く要望します。


その2に続く

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